【079】盛者必衰


自慢話の好きな友達がいます。


名誉のため名前は伏せますが、彼は一日一回は必ずというような頻度で自慢話をしてきます。昼食、あるいは休み時間時、強姦魔のような突然さで始まる彼のトークレイプに、僕ら一同は終始ドキドキ。


しかし驚嘆すべきは彼の会話の巧みさというか、話の流れを自分の自慢話の方向へと持っていく話術。いつの間にか彼の自慢話を聞いてる僕らはまるでイリュージョンでも見せられたかのような気持ちになります。まるで話の結末が全て自分の自慢話であるかのような話しぶり、どんな策も通じません。話を振らないように努めたとしても、相づちと同時に彼の話術は開始されますし、一旦始まったら最後、延々と「彼女と野外でヤった話」を聞かされます。


そんなわけで、近頃では彼を見ると頭痛がするくらい僕は彼のことが好きなんですが、最近、あんまり元気がありません。明らかにゲッソリしています。自慢の話術も陰を潜めてしまい、まるで卵を産んだ後のクワガタのような存在感です。一応友達なので心配に思い、


「最近元気ねーな?」


と、尋ねると



「俺・・・・なんか、最近自分に自信が無くなってきてん・・・・」



ネタが尽きただけでした。