【059】実態
復活して、日記ははや10個以上
週刊だとは言ってますが、六個とか七個とか溜まった時点でアップしていきますから、ええ、それじゃ週刊になってないことくらい解ってますけど、「不定期」なんて書くと人が来ないもん。
ということで、今回のアップ分の日記は一日で書き上げました全て。小学生が夏休み最終日に、溜まった日記を全部書き上げるノリで、暇さえあれば日記書いてます、県内屈指の根暗です。
なんか勉強しなきゃいけないなあ、とか、あるいは他にすることが一杯あるなあとかいう状況の時に限ってそれ以外の事がしたくなるんです、それで思いの外それに没頭して、結局やるべきことはやらず姉妹、姉の好子は出戻り、妹の倫子は高校二年生で春真っ盛り。
ある日、倫子はふと、姉の机の上に置いてある手帳に目が止まった。青い表紙に小さく「Diary」と銘打たれた小さな手帳は、相応の存在感でもって倫子を誘惑していた。
勝手に見たらお姉ちゃんは怒るだろうな
姉妹の間にも、やはり最低限のルールがある、プライバシーの塊ともいえる日記を勝手に見られたとあれば、いくら出戻りの姉でも激怒するに違いない、そうなれば奥歯を抜くか抜かれるかの大論争になるのは目に見えている。
でも、今お姉ちゃんは犬吠岬に行ってるし、帰ってくるかどうかも危ういから・・・・えい、見ちゃえ!
出来るだけ、音を立てないように部屋に滑り込んだ倫子は、日記を机から浮かさないように、表紙を開きページをめくった。
一ページ目をめくる、日記帳一杯に次元大介が描かれている、二ページ目、また次元がいる。三ページ、次元、少しひげが薄くなっている。四ページ、次元、またさらにひげが薄くなったような気がする。
まさか・・・・
倫子は、取り憑かれたようにページをめくった
そんな・・・これは・・・・・・!
最後のページの一つ前に差し掛かったとき、もうすでにそれはシルクハットをかぶった五右衛門になっていた。ここまでくれば、すでに残るは一ページ、そこには完全な五右衛門が描かれているだろう、もしかしたら「またつまらぬものを・・」などとも書いてあるかもしれない。倫子は震える指を必死で押さえながら、最後のページをめくった。
・・・・・!
白紙だった、どうやら未完成だったらしい。
倫子はほっとしたあまり尿が漏れた。
お姉ちゃん・・・
倫子は窓に向かって小さくつぶやいた、当然返事は返ってこない、けれど倫子は妙な充足感に包まれていた。きっと姉は自分がルパン好きなのを見越してこれを書いているのだろう、そう考えるだけで十分だった。倫子は部屋を後にした、思わず大好きなルパンのテーマ曲が口から漏れる。
「ルパン ルパーン♪」
間違って覚えていた。